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大名行列を授業する際の指導案

中高生を相手に参勤交代の意義を教えるのは、意外に苦労するものです。この記事では、大学生の塾講師・家庭教師向けに参勤交代および参勤交代時の大名行列を指導する際の案を提案致します。

目次

参勤交代を授業で扱う際の指導案 歴史が好きな生徒向け

歴史が好きな中高生相手の指導のコツとしては、興味が持続するように、教科書に書いていないちょっとしたエピソードを取り上げつつ、参勤交代の意義を説くのがおススメです。

学校の授業内容を繰り返すだけでは、歴史好きな生徒さんの興味を維持できなくなります。そのためにも教科書に書いていないちょっとしたエピソードを紹介して、興味を喚起するのは重要な手順です。

注意点としては、「参勤交代の目的は諸大名の財政に負担をかけて、諸大名が謀反しないようにするのが目的であった」という古い説は結果論でしかなかったことをちゃんと説明しておくことです。歴史が好きな子ならば、この程度の知識はあるものと見做しておくべきで、学校でも今ではそのような授業内容にはなっていないことが多いので、この点をちゃんと説明しておいて「この先生の言うことは信用できる」と生徒さんに思わせるのも重要です。(知っていることを説明されるのを嫌う生徒さんもいるので、その反応に注意しておくことも忘れないでください)

もちろん、歴史が好きな子であっても、江戸時代に知識があるとは限りません。欧州史や中国史など日本以外の地域への興味が強い生徒さんもいらっしゃいます。そういった生徒さんにも参勤交代の本来の意義を説明しておくのは有意義なことです。それ自体で興味を持たせることもできるかもしれないからです。

紹介するエピソードとしては、「参勤交代のときの大名行列では幕府が危ぶむほどの大人数を引き連れており、幕府は諸大名に連れてくる人数を減らすように通達を出していた」ことなどが良いでしょう。武家諸法度・寛永令の内容に繋げることができます。

指導案としては、

A 参勤交代の本来の目的が軍役奉仕であったこと、大名行列も当初は軍事色が色濃かったことを説き、平和な時代が続いたことにより諸大名の格式・威儀を誇示する華美なものに変容していったことも説明。

B 参勤交代時の大名行列においては、諸大名が見栄を張って大人数を引き連れていたことを説明。

C 幕府が「供の数が多すぎて領地・領民に負担がかかるから、身分相応の人数に抑えること」を諸大名に指示していたことを興味を持ってもらえるように話す。

D 武家諸法度の寛永令の内容につなげる。

というものになります。AからDをテンポ良く、生徒さんが興味を維持できるように授業を進めることが重要になってきます。また、歴史が好きな生徒さんは知識欲が旺盛なことも多いので、教科書に載っていないこともしっかりと予習しておくことも重要です。生徒さんの知識欲・学力に応じて必要な予習を想定しておいてください。生徒さんのレベルによっては、各大学のリポジトリから参勤交代に関する論文をダウンロードして読み込んでおくことを視野に入れる必要すらでてくることもあります。

金山寺所蔵、岡山県立博物館寄託の徳川家光像。参勤交代の制度化を寛永令で行った。寛永令の起案者は林羅山。

言うまでもありませんが、教科書に書いてある内容は完璧に身に付けておいてください。歴史が好きな中高生の知識量は、ときに一流大学の大学生を凌ぐことすらあります。中高生相手だからと甘く見ないことです。指導対象の生徒さんの学校で使っている教科書や資料集を購入しておくことも一つの手です。

進学校では、教科書を使わずに歴史を担当する教師が作成したプリントなどを使って授業をすることもありますが、この場合も、指定の教科書・資料集の要約がそのプリントの内容であることが多いので、その学校で使われている(あるいは、本来は使われるはずだった)教科書や資料集を購入しておくのは有効な手段です。

参勤交代を授業で扱う際の指導案 歴史が苦手な生徒向け

歴史が苦手な生徒さんは、そもそも江戸時代に至るまでの歴史の流れが身に付いていません。定期テストの短期的な対策ならば、定期テストの範囲を集中的に覚えさせるのが有効ですが、受験を視野に入れた長期的な対策では特定の範囲を集中的に覚えさせようとしても、苦手意識が邪魔をして暗記できない状態に陥りがちです。

長期的な対策においては、焦って江戸時代についての授業をするよりも、教科書の最初、すなわち、有史以前からやり直すことを強くおススメします。依頼が来たのが受験の三ヶ月前といった手遅れ感がある案件も少なくありませんが、そういった場合でも最初からやることは重要です。(ただし、詰め込むペースは極めて速いものになります)

受験を視野に入れた依頼で、かつ受験までの時間も十分にある場合は、教科書を最初から最後まで読ませてみてください。

といっても、一気にやるのは無理がありますから、その生徒さんが余裕を持って読むことのできる分量を一日に少しずつ読み進めるように指導するのがベストでしょう。

このとき、強調表示してある単語を無理に暗記させないように注意してください。

それをやると、苦手意識が加速してしまうこともあります。まずは歴史の流れを把握させることを重視し、細かな用語・年号は後回しにしてもOKです。

この手法は、歴史が苦手な生徒さんに基礎を身に付けさせることを意味しています。用語・年号だけを暗記させても、その意味するところ・意義を理解していなければ、受験問題を解く役には立ちません。

その用語が何を意味しているのか、その人物は何をした人でそれはどういった意義があったのかを理解してもらうためには、大雑把な歴史の流れを知識として持っておかねばなりません。例えば、織田信長は天下統一を目前として謀反に倒れ、その事業を継承した豊臣秀吉が天下統一を完成させたが、秀吉の死後、豊臣の天下は長続きせず、徳川家康に取って代わられたというような大雑把な流れすら理解できていない生徒さんに参勤交代を教えても意味がありません。足し算が出来ない小学生に掛け算を教えるようなものです。

大阪城天守閣蔵の徳川家康像。歴史が苦手な生徒さんには家康のこともわからない人もいます。

教科書を最初から最後まで読むことも難しいようなら、大概の中高の図書室にある学習マンガ『日本の歴史』を読むことを勧めてみてもいいでしょう。その際には、「勉強するつもりではなく、漫画のストーリーを楽しむつもりで読んでみてね」とアドバイスするのもアリです。苦手意識を払拭しないことには先には進めませんので、無理をさせないことが肝要です。

ただし、無理をさせないことを重要視するあまり、サボりを許容することに繋がってしまっても本末転倒ですので、そのあたりの匙加減には注意してください。

参勤交代を教えるまでの指導案としては、

A 江戸時代にいたるまでの歴史の流れを大雑把でいいので把握させる。教科書の通読はもちろんのこと、学習マンガの使用も視野に入れておくこと。

B 徐々に用語の意味を理解させていく。生徒さんの状態をよく観察し、一遍にやりすぎないこと。

C 大雑把でも歴史の流れを理解できるようになったら、参勤交代の意義を簡単に教える。

D 理解できているかをチェックする。(生徒さんに教えたことを説明させてみるのが実践的な手法)

苦手意識がある科目についての知識というものは無理に詰め込まれても身に付きません。生徒さんの状態に注意しながら、徐々に苦手意識を取り払ってあげることが何よりも重要です。特に暗記が苦手な生徒さんに最初から暗記を強いるのは苦手意識を加速させることになりかねないので、用語の暗記をしてもらうタイミングには気を付けてください。

また、御家庭にも焦らないことをしっかりと伝えてください。もちろん、定期テストで少しでも良い点を取ってもらうことも重要なので、短期的な対策(定期テストの範囲についての集中的な授業)も忘れてはいけませんが、長期的な対策を採っていかないと生徒さんの苦手意識は払拭できず、歴史が苦手科目として残り続けてしまいます。長期的な対策と短期的な対策をバランスよく実施し、生徒さんの得点が少しでも向上するように努めましょう。

なお、短期的な対策の場合、生徒さんが理解できるように簡単な内容で構いませんので、戦国時代・安土桃山時代からのざっとした解説を行ってから江戸時代の授業を進めるのが効果的です。上記した、織田信長は天下統一を目前として謀反に倒れ、その事業を継承した豊臣秀吉が天下統一を完成させたが、豊臣の天下は長続きせず、徳川家康に取って代わられたという程度の内容でも構いません。最低限、どうして江戸時代になったのかの説明は行っておきましょう。

生徒さんによっては、織田信長や豊臣秀吉、徳川家康がどんな人物だったのかさえ理解していないこともありますから、その場合は、ざっとした事績を教えてあげてください。織田信長→天下統一にかなり近いところまでいった人、豊臣秀吉→天下統一した人、徳川家康→長続きしなかった豊臣家の天下に取って代わって江戸幕府を開いた人といった程度からはじめたうえで、家康に関しては生徒さんの状態を観察しながら丁寧に教えてあげましょう。そこから、江戸時代の授業を集中的に行い、覚えるべき用語を生徒さんに理解・記憶させていってください。

以上、簡単な内容ではありましたが、大学生の塾講師・家庭教師向けの指導案を提案致しました。

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