先日、知人の結婚式に参加した際に、新婦側のお母さまが見事な黒留袖を着て参加されてました。
黒留袖の柄をよくよく見ると、大名行列のようなものが描かれており、珍しいこともあるもんだと思っておりました。
そんな中、調べてみると、意外や意外、大名行列が黒留袖に描かれていることは珍しくないとのことです。
そこで改めて、なぜ黒留袖に大名行列が描かれるのか?を調査し、その結果を解説します。
黒留袖とは?

留袖とは、短く止めた袖を持つ着物で、袖を「切る」と縁を切るようで縁起が悪いとされ、留めるという言葉が使われているそうです。
既婚女性が着る着物の中で、最も格が高く、黒留袖と色留袖があります。
主に、結婚式で親族が着用する着物で、日常的に着るものではありません。
黒留袖は、黒地の留袖で、既婚者が着用でき、中でも新郎新婦の母、仲人の奥様、新郎新婦の姉妹など、近しい人のみが着用出来ます。
黒留袖が、既婚者の正装とされている理由は、黒は染め直すことができないため、色を変えないという意思を示しているとも言われます。
色留袖は、黒以外の留袖を言い、未婚者でも着用できるようにしたものです。
色留袖は、厳格性は求められず、家族や近しい人の結婚式で着用する着物として扱われます。
黒留袖で好まれる吉祥柄

黒留袖で好まれる吉祥柄とは、長寿や繁栄をあらわし、縁起が良いとされる柄です。
日本では、お祝いの品、着物や帯、日用品、工芸品にあしらわれてきており、その種類は数十種類にも及びます。
もともとは、文化が伝わってきた中国の影響が大きく、平安時代になると、日本人らしい図案が登場します。
鎌倉時代から江戸時代になると、武家や庶民の間でもさまざまな図案が公表されていきます。
ここからは、吉祥柄の代表例と大名行列についてまとめていきます。
鳳凰
鳳凰は、中国古代の伝説上の動物で、世の中を反映させるために現れるとのいわれがあります。
したがって、お祝い事の際には、繁栄をもたらすとして縁起がいいと愛されてきました。
日本では、桐の家具に鳳凰を彫刻するとよいと流行した時期があり、枕草子にて記されている。
黒留袖の柄だけでなく、日本銀行券や硬貨、切手、はがきなどで取り入れられており、各種団体の意匠にも広く取り入れられています。
松竹梅
松竹梅は、いずれも冬の寒さに耐える存在として知られており、忍耐力や命の誕生、めでたさを示す3つの植物が合わさっています。
留袖の柄としては、決して大きく描かれるわけではなく、メイン柄のバックなどに使われることが多いです。
松は、厳しい環境の中でも育ち、真冬でも新緑の葉をつける強さがあり、長寿の象徴でもあります。
正月の門松でも使われており、古くから縁起のよい樹木として、愛されています。
竹は、成長の早い植物で、3か月で親と同じ大きさまで成長します。
まっすぐと天に向かって伸びる姿は、旺盛な生命力を表し、節と中空からなる形は、裏表のなさと節操を意味しているといわれます。
梅は、寒い冬の終わりに花が咲き、苦難に耐え、結果を出すすがたにめでたさを感じたそうです。
学問の神様といわれる菅原道真も梅を愛した一人として有名です。
宝尽くし
宝尽くしは、その名の通り宝物をこれでもかというほど集めた柄です。
縁起の良い宝物を、形にした宝尽くしであるため、吉祥柄としては最高峰ではないかという方もいらっしゃいます。
宝物の定義はさまざまで、古くから伝わるものもあれば、最近のものまで揃っています。
柄になっている宝物をよくよく観察すると、珍しいものに出あえるかもしれません。
大名行列
大名行列に限らず、行列はおめでたさや、厄除けの意味があると言われています。
大名行列以外の行列としては、祇園祭の行列や、貴族が牛車に乗って列をなしている行列などがあります。
これらの行列には、貴族や、大名などの格式の高い方が中心におり、栄華を極めた人にあやかりたいという考えがあったのかもしれませんね。
どのような行列を、どのように描くかによって、留袖の見栄えが変わるので、つい目が行ってしまうのもうなづけます。
黒留袖以外で大名行列が描かれるもの
ここまで、黒留袖についてまとめ、大名行列をはじめ、吉祥柄について解説しました。
縁起物として愛された大名行列は、黒留袖以外にも描かれているものがあったので、こちらについても紹介します。
屏風
屛風とは、部屋の仕切りや装飾に使われるもので、木の枠にふすまのようなものをつなぎ合わせたものです。
一休さんのとんち話で、屛風の虎を退治するという話がありますが、古くから使われているものです。
室町時代には、屛風絵が書かれるようになり、室町時代にはなどで装飾した金屏風も誕生します。
今も現存する屏風には、大名行列が描かれたものも多くあり、大名行列が身近であったことを示していると考えられます。
襖
襖は、和室の仕切りに使う、木などでできた骨組みの両面に紙や布を張ったものです。
源氏物語のなかに、引き違いの襖障子をありふれた情景として描かれる場面があり、古くから日本に普及していたことが伝わります。
後世になると、多くの画僧や絵師が襖絵を手掛け、現代にも残っています。
大名行列を描いたものも襖絵にあり、細かい人物描写に、深いこだわりを感じる作品もあります。
まとめ
ここまで、なぜ黒留袖に大名行列が描かれるのか?について掘り下げてみました。
本記事で、大名行列に「縁起がいい」という意味があるのを知った方も少なくないでしょう。
結婚式に参加される機会もあると思うので、その際は、大名行列が描かれた黒留袖を見かけないか注目してみましょう。
